輪廻ノ空-新選組異聞-
「でも…あなたとのこどもは…ちょっと見てみたい気がしますね」

「あ…!わたしもです」

わたしは沖田さんもそんな風に思ってくれてるとは、ちょっとびっくり眼になって返事をした。

「沖田さんとわたしの遺伝子を半分ずつもって生まれてくる、ふたりの分身ですものね」

「イデンシ…?」

「あっ、えーと、この時代にはまだ無い言葉なんですね」

こういう時もあるんだよ。

「えと…その人の体を作る色んな情報の詰まったものなんですが…」

「なるほど。それを半分ずつ持ってこどもが生まれてくるんですね」

「はい」

凄いですね、と沖田さんはちょっと遠い目をして。

「でも…すみません。私…月のものがないので…赤ちゃんの出来る体ではありません…」

残念な気持ちはさすがに大きくて、俯いてしまう。

「いいんですよ、あなたがいてくれるだけで」

沖田さんはそう言って、力強く抱き締めてくれた。

「私達は、離れて過ごしている時間の方が多い。でも、こうして愛情を確かにしていけているのは…嬉しいです」

でもやっぱり、もうちょっと一緒に過ごしたいですよね、気軽に。と微苦笑の沖田さんにわたしも頷いて。

沖田さんは無言で、周囲に視線を巡らせてから、そっとわたしに顔を近づけてきて、おでこに口付けてくれた。

きゅん、と胸が高鳴る。

沖田さんの唇は、おでこにしばらく留まった後、鼻に移動して、そしてほっぺたに。

「ん……っ」

最後には唇と唇が重なって。

探るように、軽く吸うだけだった唇の動きが、深さを増していくのに時間はかからなくて。

気付けば、むさぼるように激しく、深く…。

腰が抜けそうになって、必死で沖田さんの着物の背中を掴んで。
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