輪廻ノ空-新選組異聞-
五右衛門風呂って言うの?そんなの入った事ないから、最初はやけどして叫んだり…まぁ、裸の付き合いっていうか…ね…。思いだしても屈辱だけど…沖田さんに見られまくって、私の方が恥ずかしい目に合ってんのに、沖田さんの方が狼狽えちゃって逃げて行っちゃうから、結局代わりに駆けつけた土方さんにまで裸見られて、散々笑われて……。ううっ。悔しい〜。

どうにか普通に入れるようになったけど、誰かが急に来ては困るからって、沖田さんは扉の外で番をしてくれてて。申し訳ないから、毎日入るのは諦めたけど…というか、ここの人達って普通に毎日入らないんだね!

「皆が出払って、静かな時に眠っておくってのも良いですよ。あなた…相当気を張っているでしょう?滅多とない機会です」

気遣ってくれているんだ、と。胸がぎゅっとなった。モチロン毎日不安で。一日が無事に終わると嬉しくて。でも気が張り過ぎてるせいか、なかなか眠れない。そんなところまで見ててくれてるんだ…。なんて気遣いの人なんだろう。

「ありがとうございます、沖田さん」

不覚にも涙が出そうになったのを堪えて。
慣れたって思ってもいる。
だけど、まだまだ毎日スリル一杯で。男として振る舞う事も意外に大変だし、何もかも勝手が違っておかしな行動してそうでビクビクしちゃうし。

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