輪廻ノ空-新選組異聞-
問題が起きて、幹部が局長室に集められた時、何故かわたしも呼ばれた。
「おめぇも来い、須藤」
と、土方さんが監察方の室まで来て、わたしの腕を掴むと強引に。
な、何をわたしに期待してるんだ?と、焦った。
年表にはこんないざこざは書かれてなかったし!
「話を聞いて、おめぇが思ったこと、感じたことを素直に言ってくれて構わん」
「はぁ」
生返事なわたしに、土方さんは足早に歩きながら続けた。
「身内ばかりで話していると、見えねぇ事の方が多い。おめぇは理心流だが、新参だ。それに…」
育った環境も違うから、波風立てずに目から鱗な話が出来るかも知れねぇ、と言って、土方さんはわたしを局長室に押し込んでから自分も入って、障子を閉めた。
わたしは逃げ出したい気持ちをおさえて、中のみんなに目礼を送ってから、室の隅っこで正座した。
「言いたい事を、まずは言ってみてくれ」
近藤先生は全員を見渡して言った。
そしたら、永倉さん、齋藤さん、会津藩の殿様に自訴状を出した面々みんな遠慮なしに、言葉を吐き始めた。