輪廻ノ空-新選組異聞-
でもわたしはびっくり!

そんな事出来るんだって。

「隊の許しとお金があれば出来るようになったそうです」

会津藩からお給金が出るようになって、最近決まったらしい。

「じゃあ…沖田さんと過ごせるお家を持ってもいいんですか?」

嬉しいけど、信じられない気持ちで言っていたら…



「給金に余裕がねぇと、維持してくのは厳しいだろうがな!」

と、突然永倉さんが背後から。
「にしても、おめぇら…仲良しこよしじゃねぇの!おめぇらが休息所を持つのは理想かもな。近藤さんはアレだが…」

「アレ…?」

「今度江戸に帰って奥さんや子どもに会えば深雪太夫への気持ちが冷めるか…ってな」

それに、そんな休息所の事実が奥さん達に伝わったら、覚悟してるだろうが良い気分にゃならねぇだろうからな、と続けられた言葉を聞きながら、わたしは唖然としてた。

「近藤先生…奥さんとお子さんいらっしゃったんだ!?」

抑えられずに素っ頓狂な声を発してた。

先の見えない単身赴任だったんだ…。

気軽に帰られる距離じゃないし…。

奥さんと子どものいる生活を捨ててまで来たんだ。




以前のわたしだったらプンプン怒ってたと思う。

でも…

この時代に来て、生きるという事に命がけで向き合ってる姿を沢山見てきて…

だから、近藤先生が生半可な気持ちで上洛したのではないという事が、改めて分かって…

だからこそ、京の地でも憩いと癒やしが必要なのも凄くわかる。
< 271 / 297 >

この作品をシェア

pagetop