輪廻ノ空-新選組異聞-

十月に入って、初冬とはいえ、稽古をした後は汗だくになる。

井戸水でしぼった手ぬぐいで出来る範囲の身じまいをしたんだけど…沖田さんとデートだって言うのに…臭いかも…!

と、ちょっと池田屋事件の前後で、汗臭くなることを気にして脱水症状になった沖田さんを思い出したりして。


にしても、今日と明日は…

沖田さんと超久しぶりに非番が重なって!

どれだけこの日を待ちわびたか!


近藤先生が江戸に行かれている間も私は大阪出張で長く屯所を留守にしたり、ふたりとも非番になっても、そのずれが大きくて、一緒に過ごせるのは半日とか。


何かの陰謀!?


って思うぐらいお休みが合わなかったんだ。


だから、めちゃくちゃ楽しみ!


とりあえず、またしばらくしたら、今度は長州征討とやらで広島まで幕府の方のお供でいくらしい近藤先生たちなんだけど、休息所整えるのを完了させて、出発まではそちらで過ごしたいとのこと。


「総司、蘭丸、ちょうどふたりそろって非番だそうじゃないか。ふたりで休息所を仕上げてきてくれないか、泊りで」


と、近藤先生が私たちを呼び止めて言ったのだった。


「泊り?」「と、とと…っ?」


ふたりで目を丸くして、真っ赤になっていると、近藤先生は大きな口を開けて笑った。


「随分と一緒に休日を楽しんどらんのだろう?」

と言って下さっての非番の休日になったんだよね。

なので…

その…

つまり…


今日から明日は本当に二人きりになるんだ。


何か月ぶりだろ…。


めちゃめちゃ嬉しいけど、めちゃめちゃ緊張する。
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