輪廻ノ空-新選組異聞-
沖田さんが巡察から戻ってきた後、軽装になってからふたりで局長室の近藤先生を訪ねた。


「土間に集めてある不要品を道具屋に引き取ってもらってくれ。そして実際に明日まで過ごしてみて、生活に足りぬと思われるものがあったら、それを揃えて休息所を完璧にしておいてくれ」


近藤先生の指示は至って簡単で。

いらない物は道中の古道具屋さんに声をかけて引き取りに来てもらい、あとは過ごしてみて不便だと思ったら改善。そんな感じ。


「わかりました。では、明日の夕刻には帰隊いたします」


沖田さんは頷いて答えた後、ちょっと居住まいを正した。

私もつられるようにして座り直す。


「近藤先生。この度はありがとうございます!ふたりでゆるりとして参ります」


近藤先生の計らいに、改めてお礼。


私も深々と頭を下げた。



「では、参りましょう」



沖田さんに促されて屯所を出る。


空は晴れ渡って清々しい。


門を出て暫くは、不穏な気配がないか確認しながら歩くんだけど、大丈夫そうなのを確認すると、漸くすこし肩の力をぬいて。


「沖田さん、今晩の夕餉は何を食べたいですか?腕をふるいます!」


「嬉しいなぁ。では南瓜と…何か煮魚と…おみおつけの具材は大根がいいですかね」


そんな会話をしながら休息所に向かった。



「なんだか…新婚さんみたい」



と、自分でつぶやいて照れた。


そして、それに気づいたらしい沖田さんも首まで真っ赤になってた。




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