輪廻ノ空-新選組異聞-
「それに、何か困っていることはないか、ちゃんと確かめておきたくてね」

芹沢局長の事件の直後から、あなたは急に独り立ちしたみたいになって…弱音を吐かないし、頼ってくる事もなくなった。安心した反面…無理をしているのではないかと思って。と、まっすぐ前を向いて歩いていた沖田さんは、わたしの方へと視線を移した。

「もうすぐ、あなたがこちらに来て四ヶ月です。困っている事、わからなくて我慢していること、何でも良いですから、無理が祟ってガタが来ちまう前に言って下さい」

「沖田さん…」

思わず胸がいっぱいになる。
無理をしていないと言えば嘘になる。

沢山の大きな事実を受け止めるには、余りにも私の器は小さくて。

でも、自分の足でしっかり歩いていこうと思えば頑張れた。いつでも味方だと言ってくれる沖田さんがいてくれるんだって思ったら、力が湧いた。

「ありがとうございます。わたしは…沖田さんがいてくれるから、頑張れるんです」

「そう言って貰えると……嬉しいです」

沖田さんは微笑して。

「ですが…恐らくあなたのいた所とは、色々と勝手が違うでしょう?厨の使い方も随分違ったようですし…。ですから、そういう日常の作法の事で困ったり、などはありませんか?」

そうですね…と、私は腕組みをした。
普段は、あ、これどうするのかな、とか思うんだけど、いざ言われるとなかなか浮かんでこない。

「あ…」

私は腕をほどいて沖田さんを見た。

「お恥ずかしい話ですが…。生理になったらどうしようって思ってたんですが…。全然ならないんですよね。ストレス…心の負担で狂ってるのかな…とも思ってるんですけど…でももういい加減、こちらの毎日にも慣れてきているので…ちょっと焦っています」

「せいり?」

沖田さんは、恥ずかしい単語を繰り返して首を傾いだ。

「はっ、こっちでは違うのかな、言葉」

思わず赤くなった。説明しないとダメ?って。

「えーっと…。おなごに毎月くる…その……身体の不調というか…好調というか…」

流石の沖田さんも分かったみたいで、真っ赤になって口ごもった。
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