輪廻ノ空-新選組異聞-
「つ、月の障り…ですか」

超小声になって言う沖田さん。

「ツキノサワリ…って言うんですか?」
「こっ、声が大きいです!!」

慌てた沖田さんは、私の口を手で覆ってきた。

「んぐっ」

ち、ちょっとちょっと!!
唇に…沖田さんの手…っ!!

かぁ~っと熱くなるほっぺた。
急いで沖田さんの手を掴んで離した。

「あ、す、すみませんっ」

つい…と、沖田さんも顔を赤くしたまま詫びのつもりか私の前髪を撫でた。

「癖ですね、前髪混ぜたり、撫でたり、軽く叩いたり…」

ボソッと言ったら、沖田さんは慌てて手を引っ込めた。

「そ、そうですか?」

「はい。わたし、そんなに童子みたいですかね」

沖田さんは壬生寺で童子達を集めて遊ぶのを楽しみにしてる。その童子の頭を良く撫でているのを思い出した。完全に子供扱いじゃん!!

「そ、そのようなつもりは…つい、訳もなく触れたくなると言うか…」

「何ですか、それ!!」

私は沖田さんの事が好きなだけに余計にモヤッとするよ、そんな事を言われたら。

「取り敢えず、歩きましょう。立ち止まっていては不審ですし、邪魔になる」

大晦日だけあって、夜中だけど人通りは多くて。私は素直に頷いて歩き出した。

「で、ツキノサワリですが…」
「月のもの、とかお馬とも言うようですよ…」

また極端に小声で沖田さんは教えてくれた。

「ですが…」

えーと、その…、と何かを言いたくて、でも言えない様子でしどろもどろになって。

「気になるのでハッキリ言って下さい」

「それが止まるのは…赤子が出来た時だけではないのですか?」

言った沖田さんの視線がわたしのお腹に…!!

「もうっ!!違います!!身に覚えありません!!エッチなんかしたこと無い!!未経験ですっ!!」

「え…えっち?」

「わたしをそんなふしだらなおん…男だと思ってたんですか!?」

落ち着いて、と沖田さんは私の腕を引っ張って、四条通から小路へと。
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