輪廻ノ空-新選組異聞-
畳んであった袴をはく。
着たままになっていたジャージを脱ぐ。
ジー、っとこの純和風の部屋と空気には似つかわしくないようなファスナーの音が、やけに大きく響いた。
ポニーテールに結っていた髪を、しっかりと結い直す。
寝かされていた布団を畳んで部屋の隅に運んで、改めて畳に腰を下ろしたところで、沖田さんが戻ってきた。新たにふたりの男の人が一緒だ。
「あっっ」
息を呑んだ。
知ってる顔だ!
「コンドーイサミ……?」
うちの流派の宗家だった有名人だ。お父さんの部屋に写真が飾ってあったよ、たしか!
「てめぇ、いい度胸だな。近藤さんを呼び捨てるとは」
もうひとりの男前の方が無表情に眼光だけ鋭く言った。
こ、こわっ。
「まぁまぁ、歳さん。怯えとるだろう」
コンドーさんは笑いながら隣のトシさんをなだめる。
見た目と違って優しそう…。
「そうですよ、物凄く錯乱してるんですよ、この人」
「総司、お前もな」
トシさんは舌打しながら言って、漸く先に腰を下ろしていたコンドーさんと沖田さんの間に腰を下ろした。
「わ、私は、きゅ、急に抱きつかれたものだから…動転しちまっただけです」
沖田さんの言葉に、トシさんは「ふん」と鼻を鳴らした。