輪廻ノ空-新選組異聞-
背中で閉まる障子。
途端に気が抜けて。
「っう、い、いたた…」
頭がハンパ無く痛い。
横になりたい。
喉乾いた…。
色々ぶちぶちと言いながらも、切腹かと思っていたのに、免れて。その事が「これからは気を付けよう」と、身を引き締めると同時に、やっぱり嬉しくて。
一度畳んでいた布団を再び出してきて敷き、誰もいないのを良いことに寝間着に着替え開始。
出入り口には必ず背を向けて。
袴を脱いで、帯を解いて単衣を脱いで、襦袢の帯も解いて。
スラッ
「わっ」
突然障子が開いて室内が明るくなった。思わず声が出る。
「私だ」
顔だけで振り返ると齋藤さんが薬罐と湯飲みを持って立ってた。
声を掛ければ良かったな、と、お詫びなのか小さく頭を下げた。そして障子を閉めると布団の枕上に手にしていたのを静かに置いた。
「まだ寝ているだろうと思い、声を掛けなかったのだ」
「隊務につこうとして起きて行ったら、副長に止められて、一日寝ているように言われました」
「それでまた寝間着に着替えておるのだな」
「はい」
では着替えながら聞くように、と齋藤さんは潜めた声で話し始めた。
「伊木には気を付けた方が良い」「えっ」
わたしは驚いて齋藤さんの方を振り返っていた。
「晒しを巻いているにしても無防備だ」
まじまじと見られての言葉に顔が熱くなった。慌てて背を向ける。
「お主ゆえ明かすが、伊木の実家である商家は、資金援助で倒幕派に加担している疑いが濃厚だ。伊木も間諜とおぼしき動きがある」
「カンチョウ…?便秘の時に使う…」
「何…!」
齋藤さんが驚いたのが、気配で伝わってきた。でも知らないもん!!それ以外にカンチョウなんて!
「言葉を知らぬのか」
呆れ声。
「そんな言葉は使った事がありません、便秘時の薬以外では」
「密偵と言えば分かるか?」
ああ…!と、わたしは漸く頷いた。にしても…
驚きだよ。親しくしてたのに全然気付かなかった…!
途端に気が抜けて。
「っう、い、いたた…」
頭がハンパ無く痛い。
横になりたい。
喉乾いた…。
色々ぶちぶちと言いながらも、切腹かと思っていたのに、免れて。その事が「これからは気を付けよう」と、身を引き締めると同時に、やっぱり嬉しくて。
一度畳んでいた布団を再び出してきて敷き、誰もいないのを良いことに寝間着に着替え開始。
出入り口には必ず背を向けて。
袴を脱いで、帯を解いて単衣を脱いで、襦袢の帯も解いて。
スラッ
「わっ」
突然障子が開いて室内が明るくなった。思わず声が出る。
「私だ」
顔だけで振り返ると齋藤さんが薬罐と湯飲みを持って立ってた。
声を掛ければ良かったな、と、お詫びなのか小さく頭を下げた。そして障子を閉めると布団の枕上に手にしていたのを静かに置いた。
「まだ寝ているだろうと思い、声を掛けなかったのだ」
「隊務につこうとして起きて行ったら、副長に止められて、一日寝ているように言われました」
「それでまた寝間着に着替えておるのだな」
「はい」
では着替えながら聞くように、と齋藤さんは潜めた声で話し始めた。
「伊木には気を付けた方が良い」「えっ」
わたしは驚いて齋藤さんの方を振り返っていた。
「晒しを巻いているにしても無防備だ」
まじまじと見られての言葉に顔が熱くなった。慌てて背を向ける。
「お主ゆえ明かすが、伊木の実家である商家は、資金援助で倒幕派に加担している疑いが濃厚だ。伊木も間諜とおぼしき動きがある」
「カンチョウ…?便秘の時に使う…」
「何…!」
齋藤さんが驚いたのが、気配で伝わってきた。でも知らないもん!!それ以外にカンチョウなんて!
「言葉を知らぬのか」
呆れ声。
「そんな言葉は使った事がありません、便秘時の薬以外では」
「密偵と言えば分かるか?」
ああ…!と、わたしは漸く頷いた。にしても…
驚きだよ。親しくしてたのに全然気付かなかった…!