輪廻ノ空-新選組異聞-
「須藤くんも年始で十九だ。嫁かず後家とはまだ言わぬが、子のひとりやふたり、いても不思議はない」

えーっ!
そ、そこまで早婚ですか…!

でも…

「でも、大体…男として、隊士として置いて頂いているのに、そのような分別ない行為は致しません!」

ぷくっと、思わず思い切り膨れっ面に。

「すまなかったね」

謝られてハッとする。
冗談で和ませようとして、余計な事を言った私が悪いのだ。

「蘭丸…あなたは」

呆れた沖田さんの声。

「すみません。変な冗談を言った私が悪かったのです」

深々頭を下げた。

「でもわたし…嫁かず後家かも知れませんが…そういうコトは軽々しくしたくないので。まだ、ありませんよ!」

それだけは誤解のないようお願いします、と付け加えたら…

「良かった」

と、沖田さんが。

……え…っ!?

「あなたがそう言う人で。世の中乱れてますからね…」

と。

何だろうドキドキが止まらない。合わさった視線を一瞬でそらしてしまう程。

沖田さんはわたしに、そういう女でいて欲しいと望んでたの?それって前向きに受け取っていいのだろうか?

「あの…」

「忘れていたよ!上菓子があったのだ」

唐突にサンナンが言って。

「上菓子ですか!?」

沖田さんもその話題に食い付いて。それはそのまま聞けないで終わった。
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