輪廻ノ空-新選組異聞-
言いながら、本当に深い感謝の気持ちと、こんなにも沖田さんが好きだ、という気持ちが込み上がってきて、瞳が潤んだ。

「わたしは…自分の時代では考えられない、有り得ない、大変な中で暮らしていても沖田さんがいて下さることが幸せで…」

沖田さんの事が…

「好…」

むぐっ!

突然沖田さんの手に口を塞がれた。

「言わないでくださいっ」

必死な形相になってる沖田さん。

あ…、そ、そうだ…。

沖田さんは女嫌いだったんだ……。

わたしは身体はともかく、全然おなごみたいじゃないから…だから親切にしてくれてたんだ…!

今更思い出す馬鹿…。


「いいですか、離しますが…私に話をさせて下さい」

わたしは黙って頷いた。

もう沖田さんに視線を合せることも出来ない…。

恥ずかしい…。

何だか、ひとりで舞い上がってたって言うか…。



「私は…おなごが…嫌いと言うか…苦手と言うか…。その理由をあなたに尋ねられても、答えたくなかった。それ程、嫌な思い出です」

でも、今は聞いてくれますか、と丁寧な物言いで。

「はい…」

わたしはやっぱり目を合わせず、俯いたまま頷いた。

「一昨年だったかな…。近藤先生の奥様が連れてきていた下働きの娘さんがいましてね。その娘さんに夫婦になって欲しいと言われました」

まさかおなごの方からそんな事を言い出すとは念頭にもなく、何より、その方にそのような感情を抱いた事もなく、剣術一辺倒の毎日で満足していた自分は、その場で断った、と沖田さんは一息に言った。
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