輪廻ノ空-新選組異聞-
「そんな下らない女の人に、苦しめられてる沖田さんが…可哀想です!」

鼻息も荒く言い終えた。

同じ女として許せない…、とブツブツと付け足していたら、突然目の前が真っ暗になった。

ぎゅうう〜っと、身体が締めつけられ……て……っ!?

「蘭丸」

くぐもって、でも大きく響く声。
直接耳に…。

顔を上げようとして、自分が沖田さんの腕の中にいる事に気付いた。

「だから、好きになった」

え?

「あなただから…。私は、こんなにも…惚れてしまった」

は…?

え?

「沖田…さん?」

視界が明るくなって、沖田さんの顔。

紅潮してて、でも満面の…見たこともない笑顔で。

「好きです、蘭丸」

あなたを愛しています、とハッキリと告げられた。

「嘘…」

「嘘でこのようなこと、言いません」

「だって…」



私が言おうとしたら、止められた。

女から言うのは駄目なんじゃ?

それに…ここのとこ、避けられてた。



「私の方から言いたかった。おなごから言われたのが駄目なのではなく、自害されそうになった事で、苦しかった。それと…避けていたのは……」

嫉妬です。

沖田さんの告げた言葉。

「嫉妬?」

自分とではなく、伊木さんと夫婦になる事に…妬心を持ちましたと、苦笑交じりに。

そして再び…

「あなたが好きです」
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