BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
月穂が答えあぐねていると、奥に座る友人のひとりが笑った。
「乃々、必死すぎ」
やや小馬鹿にするような嘲笑に、月穂はちょっと心地が悪くなった。それに比べ、当の本人である乃々は気にもならないようで、涼しい顔をする。
「だってパイロットだよ? こんなチャンスないじゃん。人数揃えられなかったら向こうの面目つぶしちゃうじゃない」
「はいはい。向こうの顔を立てて、エライエライ」
「こういうのは第一印象が肝心なの!」
そこに、「こんばんは」と低い声が割って入る。次の瞬間、月穂以外の三人は一瞬で余所行きの笑顔を作った。
「こんばんはー! お疲れ様ですー!」
約束していた男性たちが席にやってくるなり即座に席を立ち、会釈で挨拶する様は実に軽やかだ。
月穂は三人の変貌ぶりに茫然とし、数秒遅れて立ち上がる。
「ごめんね。だいぶ待たせたかな?」
「いいえ! 私たちもさっき来たところなんですよぉ」
甘ったるく語尾を伸ばす乃々の隣で、月穂は不思議に思っていた。
やってきたのは男性はふたり。男性側の席は間違いなく四つある。
月穂が『数合わせ』と呼ばれてきたのだから、相手側も四人いないとおかしい。
「あとのおふたりはお忙しいんですか?」
乃々も同じ気持ちでいたようで、男性へ遠慮がちに尋ねた。
「ああ、ごめんね。残りのふたりはもう少ししたら来ると思うから」
「全然大丈夫です。お忙しいですよね? だってパイロットですもん!」
乃々は安堵の表情を浮かべると、早速ちやほやし始める。
全員が椅子に座るのを見て、月穂も渋々腰を下ろした。
(完全に帰るタイミング逃しちゃったな)
月穂は諦めてこの場に留まる決意をしたものの、こっそりとため息をついた。
「乃々、必死すぎ」
やや小馬鹿にするような嘲笑に、月穂はちょっと心地が悪くなった。それに比べ、当の本人である乃々は気にもならないようで、涼しい顔をする。
「だってパイロットだよ? こんなチャンスないじゃん。人数揃えられなかったら向こうの面目つぶしちゃうじゃない」
「はいはい。向こうの顔を立てて、エライエライ」
「こういうのは第一印象が肝心なの!」
そこに、「こんばんは」と低い声が割って入る。次の瞬間、月穂以外の三人は一瞬で余所行きの笑顔を作った。
「こんばんはー! お疲れ様ですー!」
約束していた男性たちが席にやってくるなり即座に席を立ち、会釈で挨拶する様は実に軽やかだ。
月穂は三人の変貌ぶりに茫然とし、数秒遅れて立ち上がる。
「ごめんね。だいぶ待たせたかな?」
「いいえ! 私たちもさっき来たところなんですよぉ」
甘ったるく語尾を伸ばす乃々の隣で、月穂は不思議に思っていた。
やってきたのは男性はふたり。男性側の席は間違いなく四つある。
月穂が『数合わせ』と呼ばれてきたのだから、相手側も四人いないとおかしい。
「あとのおふたりはお忙しいんですか?」
乃々も同じ気持ちでいたようで、男性へ遠慮がちに尋ねた。
「ああ、ごめんね。残りのふたりはもう少ししたら来ると思うから」
「全然大丈夫です。お忙しいですよね? だってパイロットですもん!」
乃々は安堵の表情を浮かべると、早速ちやほやし始める。
全員が椅子に座るのを見て、月穂も渋々腰を下ろした。
(完全に帰るタイミング逃しちゃったな)
月穂は諦めてこの場に留まる決意をしたものの、こっそりとため息をついた。