BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
『じゃあ、今まで俺が彼女といたこと、気になるんじゃないの?』
「お前、やっぱり彼女のことを」
『そうだよ。告白は前にもうした。まだいい返事はもらえてないけど、なんでかなあ。初めはただ、物珍しさもあって興味を引かれただけだと思っていたんだけど、今ではすんなり諦める気にもなれなくてね』

 夕貴の気持ちを耳にして、祥真の中に僅かに迷いが生じる。

 夕貴とは訓練生からの仲で、自分にしては珍しく長く続いている友人だ。
 祥真にとって、夕貴は貴重な存在で大切な親友だが、もし月穂とうまくいったと聞かされたとしても、簡単に祝福できる自信はない。

 ――渡したくない。

 一番先に現れた感情がそれだ。
 月穂のことは、相手が夕貴であっても容易に諦められないほどの存在になっていた。

「今、彼女は?」
『もしかして今日、大和さんと会う約束してた?』

 祥真は夕貴に虚を突かれ、言葉を失った。

 祥真の反応で夕貴は自分の予想が当たったと確信した様子だ。
 さっきよりもゆっくりとした口調で続ける。

『俺、今日突然大和さんのところに行ったんだ。でも、祥真と約束してるなんてひとことも言わずにつきあってくれた。それで、もう遅いから家まで送って来たんだけど、帰り際に聞かれてね』
「なにを……?」

 祥真は至って自然に聞き返していた。
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