BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
ずっと陰に隠れてきた自分に、こんなに眩しい光が当たるなんて想像もしなかった。

 目立たないようにしてきたのは自分自身。
 誰かと深くかかわるのを避けてきたのもそう。

 なのに、彼に近づきたいという気持ちが芽生えた。
 少しでもいい。一分でも一秒でも、共有する時間が幸せだと気がついた。

「君を変えるきっかけに、俺はなりたい」

 自分が彼を思うように、彼も自分を思ってくれている。
 この感情を表せる言葉なんて、存在しない。

 月穂は両手をスッと伸ばし、祥真の首に回す。
 彼を引き寄せると、ぽつりとつぶやいた。

「……もう、十分なってます」

 頬を擽る祥真の髪の一本すらも愛しい。

 肩に感じていた祥真の重みが少しずつ軽くなっていく。同時に、月穂が回していた腕も緩んでいった。
 刹那、唇が柔らかな感触に包まれる。

 固く目を閉じ、硬直したままキスを受け入れていたら、祥真が距離を離して「ふ」と笑った。

「緊張しすぎ」

 笑いをかみ殺しながら言われ、月穂は顔を真っ赤にする。

「あ……ご、ごめんなさ……」
「可愛いな」

 そっぽを向いていた彼の目が、一瞬で月穂を捕える。

 祥真は右手をするすると動かし、月穂の手を覆う。指を絡ませ、きゅっと握った。
 もう一方の手で月穂の右肩をソファに押し付け、ちゅっと軽いキスを落とす。

 月穂は経験のない短いキスに、目をぱちくりさせた。
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