BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
しかし、すぐにまた祥真の影が落ちてきて、心の緊張を解す間もなく奪われる。

「んっ、ん、ん」

 唇を啄むような行為を繰り返され、月穂は次第に思考が働かなくなっていく。

 ひとつひとつのキスは濃厚なわけではないのに、なんだか祥真が自分を味見でもしているような気持ちになって頬が上気する。

「は、やぶさ、さ……んっ」
「ん?」

 合間にどうにか祥真を呼ぶと、キスの嵐は止んでぴたりと止まった。

 そうかといって、月穂の動悸がすぐに落ち着くわけがない。
 頭の中も甘く痺れたままで、なにを続けて言えばいいか混乱している。

「は……隼さんが、こんなにわかりやすく求める人だなんて……思わなかった」
「そうだな。俺も驚いてる」

 やっとの思いで繋いだ言葉に、祥真は即答した。

 そして、月穂のこめかみから髪の中へと左手を差し込み、うなじまでゆっくり撫で降ろす。 広げた手で月穂の後頭部を支えると、月穂の背中が粟立つほど色香のある声で囁く。

「こんなふうに誰かを手に入れたいって思ったことなんかなかったから」

 伝え終えるなり、さっきまでのキスとはまったく別の、深く情熱的な口づけをする。
 渇望を潤したいとでもいうように奥まで蹂躙され、月穂は頭が真っ白になった。

 次第に身体がふわりと浮かぶような感覚にほだされ、恍惚として祥真に委ねた。

 祥真が唇を離し、月穂は胸を上下させる。
 どちらからともなく視線を交錯させたときに、祥真が言った。

「君が好きだ。なりふり構ってられないくらいに」

 祥真の真剣な告白に視界が滲む。

 今夜は夜空を見上げることも忘れ、最愛の人の温もりに溶けていった。
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