BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
「彼女、昔からなにか隠しごとをすると、あからさまに目を逸らして頻りに髪を触るの。その癖が今も変わってないから笑っちゃったわ」
この人が、ある種、月穂があんなふうに人思いで不器用で真面目で優しい人柄になったきっかけを与えた人物――。
月穂自身言っていた。
命を救ってくれ、心から感謝している人だと。
「言わないんですか? 月穂はあなたをずっと忘れていない」
それを知る祥真だから、まるで自分のことのように必死になって訴えた。
こんな奇跡があるなんて。
花田は祥真の思いを感じ取ってはいたが、静かに笑みを浮かべ、首を横に振る。
「今のあの子には、ちゃんと心の拠り所がある。前を見ているのに、わざわざ過去を持ち出さなくてもいいんじゃないかしら」
そう言われると、もうなにも返せない。
祥真は花田の後ろ姿を見送り、「ふー」と長い息を吐く。
十五年の月日を経て、ものすごい身近で再会している。
思い起こせば、自分たちも、ロスという遠く離れたところで一度会っただけなのに、東京で再会し、さらには一時的とはいえ職場まで同じになったのだ。
「なるほどね」
祥真はひとりで言って納得し、くすっと笑う。
月穂には不思議な力があって、きっといつでも奇跡を起こせるのだろう。
この人が、ある種、月穂があんなふうに人思いで不器用で真面目で優しい人柄になったきっかけを与えた人物――。
月穂自身言っていた。
命を救ってくれ、心から感謝している人だと。
「言わないんですか? 月穂はあなたをずっと忘れていない」
それを知る祥真だから、まるで自分のことのように必死になって訴えた。
こんな奇跡があるなんて。
花田は祥真の思いを感じ取ってはいたが、静かに笑みを浮かべ、首を横に振る。
「今のあの子には、ちゃんと心の拠り所がある。前を見ているのに、わざわざ過去を持ち出さなくてもいいんじゃないかしら」
そう言われると、もうなにも返せない。
祥真は花田の後ろ姿を見送り、「ふー」と長い息を吐く。
十五年の月日を経て、ものすごい身近で再会している。
思い起こせば、自分たちも、ロスという遠く離れたところで一度会っただけなのに、東京で再会し、さらには一時的とはいえ職場まで同じになったのだ。
「なるほどね」
祥真はひとりで言って納得し、くすっと笑う。
月穂には不思議な力があって、きっといつでも奇跡を起こせるのだろう。