BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
明日はふたりの想いが通じ合ってから初めて、ふたり同時の休日だ。
祥真のマンションに着いてリビングに入るなり、月穂が紙袋を渡す。
「これ、タイミング逃してそのままで……ごめんなさい」
祥真が紙袋を受け取って中を覗き込む。
それは、以前雨に降られたときに借りた、祥真の服だった。
「ああ。忘れてた。今日また使ったら?」
「え……。あ、でも今日はちゃんと着替えを持ってきてて」
「そっか。残念」
「残念?」
月穂が不思議そうに言うと、祥真はなにかを思い出して笑い始める。
「裾を何回も折り曲げて、それでもぶかぶかで着てた格好が可愛かったから」
「かっ、かわっ……」
口をパクパクとさせて顔を赤くしたときに、祥真の携帯が鳴った。
「夕貴? なんか用?」
ディスプレイに出ている名前で着信主がわかると、やや素っ気なく電話に出た。
『冷たすぎるぞ。なんだよ、もしかしてデート中?』
「ノーコメント」
月穂はあれから夕貴とは会っていない。だが、避けているわけではなく、会う機会がなかっただけだ。
祥真もまた、夕貴とフライト予定のすれ違いから顔を合わせていなかった。
この電話が、あの日以来の連絡だ。
祥真は夕貴に対し、まったくなにも感じないわけではない。
月穂の伝言を黙っていたことはもう気にしていないが、自分が月穂と一緒にいることに多少なりとも罪悪感を持っていた。
祥真のマンションに着いてリビングに入るなり、月穂が紙袋を渡す。
「これ、タイミング逃してそのままで……ごめんなさい」
祥真が紙袋を受け取って中を覗き込む。
それは、以前雨に降られたときに借りた、祥真の服だった。
「ああ。忘れてた。今日また使ったら?」
「え……。あ、でも今日はちゃんと着替えを持ってきてて」
「そっか。残念」
「残念?」
月穂が不思議そうに言うと、祥真はなにかを思い出して笑い始める。
「裾を何回も折り曲げて、それでもぶかぶかで着てた格好が可愛かったから」
「かっ、かわっ……」
口をパクパクとさせて顔を赤くしたときに、祥真の携帯が鳴った。
「夕貴? なんか用?」
ディスプレイに出ている名前で着信主がわかると、やや素っ気なく電話に出た。
『冷たすぎるぞ。なんだよ、もしかしてデート中?』
「ノーコメント」
月穂はあれから夕貴とは会っていない。だが、避けているわけではなく、会う機会がなかっただけだ。
祥真もまた、夕貴とフライト予定のすれ違いから顔を合わせていなかった。
この電話が、あの日以来の連絡だ。
祥真は夕貴に対し、まったくなにも感じないわけではない。
月穂の伝言を黙っていたことはもう気にしていないが、自分が月穂と一緒にいることに多少なりとも罪悪感を持っていた。