BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
二時間後。月穂が寝る支度を整え、ベッドルームに戻るなり、ベッドの上でくつろいでいた祥真が言った。

「そういえば今日、月穂の上司に会ったよ。来週戻ってくるんだって?」
「えっ。そうだったんですか? はい。私も今日、来週からって聞きました」

 仕事の話で思わず気をつけの姿勢をしてしまい、祥真に笑われる。

「なら、またタイミング合えば寝に行くかな」
「だ、だめですよ! 他のクライアントがいつくるか……」

 しどろもどろとする月穂をベッドで転がって眺めていた祥真が、ベッドサイドに座り直す。ちょいちょいと右手をこまねかれて、おずおずとそばに行った。
 祥真との距離は一メートルほど。

 そのとき、祥真の長い腕が伸びて、あっという間に攫われる。

「だって、会う時間が足りないから」

 祥真の足の間に立ち、彼を見下ろす。

「それは、そう、ですけど」

 部屋の間接照明が、彼の綺麗な肌をより美しく魅せる。
 目鼻立ちがはっきりした顔立ちだから、高低差の影がくっきりと浮かび上がり、彫刻像のようだ。

「ここに一緒に住むのは?」
「え?」
「ここなら月穂も通勤が楽になるし、悪い話じゃないだろう?」

 祥真に見惚れていると、びっくりする提案をされて目を瞬かせる。

「そんな大事なことを急に……」
< 165 / 166 >

この作品をシェア

pagetop