BIRD KISSーアトラクティブなパイロットと運命の恋ー
夕貴と一旦別れ、病院に着いた月穂は、すぐにカウンセリングルームへ向かった。
花田に借りていた本を返し、廊下に出るなり小走りで先を急ぐ。
少しでも時間を短縮するために、いつもなら選ばない旧階段を選んだ。
廊下よりも少し暗く蔭った階段を下りながら腕時計を確認する。
(七時十五分……)
「あれ? 大和さん。まだいたんですかあ?」
背中越しに話しかけられ、階段を下っている途中の足を止めた。振り向くとスクラブを着ている乃々が数段上に立っていた。
「あ……須田さん。今帰るところで……。須田さんは今日夜勤ですか? 大変ですね」
「まあ、慣れですよ。初めは眠気と戦ったりしてたんですけどね。でも、今では夜勤の日の習慣があって、それをすればばっちりです」
「へえ。習慣っていうのはどんな?」
「私、夜勤で出勤してくるときは、この近くにあるカフェに寄ってから来るんです。必ず」
月穂はドキッとした。
近くのカフェと言えば、思い当たるところはひとつしかない。夕貴が今待っているカフェだ。
もしかして、夕貴と会ったのかと思うと、どこか気持ちが落ち着かない。
月穂が内心ハラハラしていると、乃々はにっこりと口角を上げる。
「でも、今日は一瞬で眠気も吹っ飛びましたよ。だって夕貴さんと大和さんのツーショットに遭遇したんですもん」
花田に借りていた本を返し、廊下に出るなり小走りで先を急ぐ。
少しでも時間を短縮するために、いつもなら選ばない旧階段を選んだ。
廊下よりも少し暗く蔭った階段を下りながら腕時計を確認する。
(七時十五分……)
「あれ? 大和さん。まだいたんですかあ?」
背中越しに話しかけられ、階段を下っている途中の足を止めた。振り向くとスクラブを着ている乃々が数段上に立っていた。
「あ……須田さん。今帰るところで……。須田さんは今日夜勤ですか? 大変ですね」
「まあ、慣れですよ。初めは眠気と戦ったりしてたんですけどね。でも、今では夜勤の日の習慣があって、それをすればばっちりです」
「へえ。習慣っていうのはどんな?」
「私、夜勤で出勤してくるときは、この近くにあるカフェに寄ってから来るんです。必ず」
月穂はドキッとした。
近くのカフェと言えば、思い当たるところはひとつしかない。夕貴が今待っているカフェだ。
もしかして、夕貴と会ったのかと思うと、どこか気持ちが落ち着かない。
月穂が内心ハラハラしていると、乃々はにっこりと口角を上げる。
「でも、今日は一瞬で眠気も吹っ飛びましたよ。だって夕貴さんと大和さんのツーショットに遭遇したんですもん」