誠の華−ユウガオ−
訳が分からないと言わんばかりに私を見つめる総司。
「もしかして僕のために抜けるって言ってるのならそんな必要はない。僕に縛られずに雪は自由に生きていいんだよ」
「違う!そんなじゃないよ。こんな怪我して、足手まといになるから辞めてきたの。私は十分働いたから次は女として幸せになってもいいかなって思ったんだけど……迷惑だった?」
「迷惑な訳ない。でも…こんなの雪らしくないよ……」
私らしいとか、私らしくないとか、そう言う問題じゃない。
大切な人が一番苦しい時に側にいたいのはみんな同じでしょう?
そう言っても総司は反対するのかもしれないけど。
「どうして?私だって女なんだよ?それにもう私は刀を握らないって決めたの。もう誰かが死ぬのを見るのは懲り懲り」
何も言えなくなった総司をみて眉尻を下げて笑う。
まだ不服そうな顔をしているがこれ以上何かを言うつもりはなかった。
「ほら、今日も冷えるからちゃんとあったかくしてね」
これ以上話を長引かせないために無理矢理総司を布団に横たえる。
癖のある前髪を撫でるとくすぐったそうに目を細める姿に笑みが浮かぶ。
「おやすみ」
そう言って側を離れようとすると腕を掴まれた。
「雪、一緒に寝よう」
「……へ?でも布団もないし……」
もごもごと言い訳をしていると弱々しくグイッと引かれた。
「ここで寝ればいい。二人で寝れば寒さも柔らぐでしょ」