誠の華−ユウガオ−
京に来た時点でそれなりの覚悟を持って来たんだ。
女であることを捨て、剣を取り、いくつもの命を殺めた。
引き返せないところまできているんだ。
でもそれでも私は今まで培ってきた全てのものを壊し、捨てて来てでもやらなければならないことがある。
後悔は、ない。
「絶対に死なないで。死んだら許さないから。生きて帰るって、約束して」
縋るようにそう言って小指を出すと照れくさそうに一君も小指を絡めた。
「…あぁ、約束だ」
「破ったら切腹だから」
「破る時は死んでいるだろう。どうやって切腹するんだ」
「知らないよそんなの」
2人で他愛ない話に花を咲かせている時だった。
滅多に取り乱さない歳さんが現れたのは。
「お前らっ、いよいよ山崎が危ねえんだ!!」