誠の華−ユウガオ−
雪が戻ったことで再び訪れた和やかな雰囲気に皆ホッとした。
「まるで夫婦だな」
「不思議だよな。ガキの頃から知ってる奴らがこんな仲睦まじくしているところを見るのは」
土方、左之がしみじみと言う。
それは春の日差しのようにポカポカと暖かく私達を包んだ。
総司のお嫁さんに…なりたかった。
胸がチクリと痛んだが気づかないふりをして4人で話し込んだ。
すごく楽しかった。
あの頃に戻ったみたいだった。
いや、あの頃には及ばないか。
だって、ここにはあの頃共に過ごした人達がいない。
平助、山南さん、源さん。
そしてみんなの中心にいた勇さん。
私たちはバラバラになった。
どんなにもがいても、決してあの頃には戻れないんだ。
混沌とした世の中での束の間の至福に少しの寂寥感が混じった日だった。