誠の華−ユウガオ−



既に戦の火蓋が切られた甲府では新撰組…いや、甲陽鎮撫隊からは脱走者が絶えないだとか、新政府軍の武器には太刀打ち出来ないだとか、江戸には悪い噂ばかりが立ち込めていた。


苦戦を強いられているみんなは無事なのだろうか、不安ばかりが胸を覆い尽くす。


気を抜いたら泣いてしまいそうだった。


しかし総司に気づかれるわけにもいかない。


「よっし!!」


気を引き締めるために両手で頰を叩く。


総司が美味しいって言ってくれてるんだ。


今日も頑張って作ろう!


「邪魔するぜーー!」


つくしの泥を取るため水に浸したその時だった。


聞き慣れた声を聞いたのは。


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