誠の華−ユウガオ−
総司さえいてくれればいいのに。
なんであなたまで私からいなくなるの。
側にいてくれるだけでいいんだよ。
「愛してるの…誰よりも愛してて大切なの。総司がいなきゃこの世界は…っ、私には広すぎるんだよ…」
バカ総司。
嫁の貰い手がいなかったらもらってくれるって言ったのに。
「約束、守ってよ…」
総司の胸を握りしめた拳で殴ろうとしてやめる。
彼の胸に耳を当てて鼓動を聞くと少し落ち着いた。
どのくらいそうしていたのか、西日が襖の隙間から差し込んで来た。
「今日はすごく長く感じるね、総司。まだ日暮れだってよ」
そう言うと微かに総司の手が動いた気がした。
「っ、総司!雪だよ、分かる?!」
彼の頰に手を添えながら問いかけるとゆっくりと開眼した。
キョロキョロと視線を彷徨わせた後、私を見つけると嬉しそうに目が細められる。