誠の華−ユウガオ−
翌日
「雪、入るぞ」
そう言って勝手に襖を開けた男は中の住人を見て眉をしかめた。
敷きっぱなしの布団の上で一点を見つめる女。
寝巻きははだけていて髪もボサボサだ。
「…あ、歳さん。珍しく早いね」
「お前が遅いんだよ」
「そうなの?いけない、早く総司を起こしに行かないと」
のろのろとした口調と動きは以前の雪からは想像もできない姿だっただけに土方は頭を鈍器で殴られたような気分だった。
「おい、総司はいいから。それよりさっさと身支度しろ。出掛けるぞ」
有無を言わさぬ声に雪は渋々と支度をした。