誠の華−ユウガオ−
俺はあの人を助けることができなかった。
罵声や平手の一つや二つは貰う覚悟でいた。
なのに何故この女は礼を言う?
「新撰組のお噂は江戸でも聞いていました。もちろん良い噂も悪い噂も。あの人が地位や名誉を手に入れてからは随分と横暴な性格になってしまったようですね。それでも尚、あなたは最後まで彼を信じて着いて行ってくれた。守ろうとしてくれた。あの人に代わってお礼を言わせて頂きます。ありがとうございました」
「やめ…てくれよ……、俺は…あの人を守れなかったんだ……礼なんて言うな……」
「いいえ、あなたは彼を守ってくれました。一緒にいなくても私にはあの人の考えていることが分かるんです」