誠の華−ユウガオ−
「お、おミツさん…」
「良かったわー、まだいてくれたのね歳さん」
動揺を隠しきれない土方にミツはふふ、と上品に笑った。
一体どこから俺たちの嗅ぎつけてきたと言うんだ。
苛立たし気に頭の後ろを掻くと土方はミツに失礼を承知で口を開いた。
「悪いが…今は帰ってくれ」
「それは出来ません。可愛い妹の頰を一発しばくまではね」
鬼の副長と恐れられた土方を慄かせるミツとは一体。
大きく溜息を吐くと土方は言葉を慎重に選びながら紡いだ。
「一体どこで情報を掴んだのかは知らねえが今雪に会うのは控えてくれ。兄と恋人を同時期に失ったばかりなんだ。しかもあいつは二人の最後の瞬間にたった一人で立ち会っている。それがどれだけ辛いか、俺達が勝手に介入できるようなことじゃねえんだ」
「ふんっ、歳さんったら。あなたは何も分かってないのね。さぁそこを退いてちょうだい」
ミツは土方を鼻で笑うと道を塞ぐ土方を突き飛ばしてドカドカと中へ押し入った。
「ったく、俺は知らねえぞ」