誠の華−ユウガオ−



たまと声を揃えてただいまーと言いながら下駄を脱ぎ捨てて中に入る。


手を洗ってから炊事場へ行くといつもの様に夕餉を作るふでさんとツネさんの姿をが目に入る。


「あれ?今日は宴じゃないの?」


「あら、お帰りなさい。どうして宴なんかするのよ」


「え…だって歳さんが……」


私がそう言うと訝し気に眉を寄せる二人。


嫌な予感がした。


炊事場を飛び出して歳さんの部屋へ行くと既にそこはもぬけの殻だった。


一体何がどうなっているのか分からない。


今夜は宴だって言った歳さんの声が反芻する。


全部嘘だったの?


私を撒くために外出させたの?


私を欺いてまで戦へ行きたかったの?


「雪…」


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