誠の華−ユウガオ−
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「本当に行くのね」
素早く旅支度を整え見慣れた試衛館の門を振り返る。
「うん、たくさん心配かけてごめんなさい。でももう大丈夫。迷わず歩けるから」
大きかったはずのおふでさんを少し高い位置から抱きしめる。
いつの間に背を越したのだろう。
「もうあんたの行く道を止めることはしないよ。だけどちゃんと生きて帰ってこなかったら承知しないからね」
「ふふ、相変わらずおっかないわね。大丈夫よ、周助先生が教えてくれた剣術はそんなヤワじゃないから」
先の戦で受けた傷のお陰で前のようには剣を握れなくなってしまった。
でも私は戦いに行く訳では無い。
歳さんを守るために戦へ出るだけだから。
きっと大丈夫。
「それじゃあ、行ってきます」
「気をつけるんだよ」