誠の華−ユウガオ−




あの頃の俺達はまさかこんな未来が待ち受けてるだなんて思ってもいなかった。


本当に守りたい仲間が傍にいない今、戦う気はすっかり失せている。


きっと俺はこの戦の行く末を拝めずに先に旅立った仲間たちの元へ行くのだろうな。


ガキンッッッッッ


そんな不謹慎なことを考えていると背後からの襲来にギリギリで対応ができた。


俺を襲った人物は傘を被り黒い袴を身にまとっている。


「お前はまさか…」


「やっほー!久しぶり!」


数秒前に俺に刀を突きつけてきたとは思えないほど軽い挨拶だった。


久しぶりの再会だと言うのに嬉しさよりも呆れが強く胸を支配するのは彼女の才能だろう。


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