誠の華−ユウガオ−



「一体こんな所で何をしている。試衛館にいたのではないのか?」


先日副長から届いた文には確かに雪は試衛館に預けたと記されていた。


なのに何故彼女がここにいる。


「何よ、久しぶりに会ったのにもう少し喜んでくれても良いじゃない。全く苦労してここまで来たってのに傷つくわ〜」


やれやれとこめかみに手を当て頭を振る雪に溜息がこぼれる。


「実は一くんに渡さなきゃいけないものがあってね。でもその前に!お腹空いた!私にもご飯分けてーーー!お願い!」


“渡さなきゃ行けないもの”


それは何なのか気になったが雪のこの雰囲気では今は教えてくれそうもないので仕方なく給仕の女達に頼んでもう一人前の雑炊をもらった。


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