誠の華−ユウガオ−
すると雪は満足そうに笑っていた。
「よく分かんないけどその文、私には見られて欲しくないらしいから私が帰ったら読んでね。まぁ安心しなされ。そう長居はしないから。夜明け前には発つわ」
「やはり旅の目的はこれではないんだな」
「へぇ?気づいてたんだ。さすがね」
「お前は一体これからどこへ行くつもりなんだ」
「蝦夷よ。歳さんのお守りをしないといけないからね」
隠すことなくあっさり目的地を吐いた雪に怒る気力をすっかり削がれてしまう。
にしてもお守りはいつも雪がされてる側だった気がするのは気のせいだろうか。
「なぁ、共に会津で戦おう。蝦夷には行くな」
「貴方にはまた会える気がするの。全てが終わったら、またいつもみたいに迎えに来て」
“そしたら一君の気持ちにちゃんと向かい合うから”
彼女はその言葉だけを残して会津を発った。