誠の華−ユウガオ−



彼女が残ってくれるなど初めから期待はしていなかった。


だが思ったことは口に出してみるものだな。


戦う意味を見つけられた気がする。


自身の寝床へ行き雪からもらった文を広げた。



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一君がこの文を読んでいる頃、既に僕はこの世にはいないだろう。


ただでさえ字が汚かったのに今は手が震えてうまく筆すら持てないからさぞ読みにくいだろうけど、どうか少しだけ僕に時間をください。


初めて君に出会った時、僕は確信したんだ。


一君とはきっと背中を任せられる仲になるだろうと。

僕の読みは外れてなかっただろう?


僕は君を誰よりも信頼している。


そんな君だから僕の最初で最後の願いを聞いてほしい。


どうか一人ぼっちになってしまった雪の側にいてあげて下さい。


彼女を幸せにしてあげて下さい。


僕が彼女にしてあげられなかったことをたくさんしてあげてください。


一君にしか頼めないことだ。


君ならきっと雪を幸せに出来る。


僕の願いを叶えて下さい。


お願いします。


僕は遠くから一君と雪の幸せを誰よりも強く願っています。


どうか末永く平穏な時をお過ごしください。


親友へ、沖田総司より


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