誠の華−ユウガオ−



なんて静かなんだ。


あの平凡な日々をもう1日で良い。


1日だけまたあいつらと騒ぎたい。


新撰組だとか志だとか、全てを忘れて。


俺が追い詰めた山南さん、救えなかった平助、近藤さん、道を違えた原田、永倉、斉藤、病いに倒れた総司。


そして自ら突き放した雪。


もう誰もいない。


俺にもっと力があれば、俺がもっと器用なら、また違う未来があっただろう。


戦のない平和な時代が訪れた暁には、またみんなで酒を酌み交わそう。


あの桜の木も、俺たちが再び集うのを待っているだろう。


今度会う時はなんの柵もないことを祈るぜ。


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