誠の華−ユウガオ−
寝心地の悪い"べっど”なるものから重い体を起こしあげると既に見慣れてしまった男が俺の部屋でくつろいでいる。
「おはよう、土方君。随分と魘されていたが大丈夫かい?起こそうとも思ったのだが面白い句集を見つけてね。すっかり読み入ってしまった」
「大鳥さん、何度も言っているが勝手に俺の部屋に入るな。そしてその句集を片付けて今すぐ忘れろ。さもないと貴様のお気に入りのヒゲを剃り落とすぞ」
そう言うと慌てて立ち上がり「なーに、今出るところだったんだ!そう怒ることもないだろう!それじゃあ土方君、明日に疲れを残さぬよう、ゆっくりおやすみ」とだけ残し、退室していった。
「はあぁぁ」
大鳥さんの天然と自由さに既に耐性がつき始めたようで、俺のツッコミにも覇気がなくなってきた。