誠の華−ユウガオ−
「なんで…、なんだよ……」
どんなに突き放そうとしても雪は決して首を縦には降らなかった。
“自分を自由にしてあげて”
雪の言葉は堪えていた僕の涙腺を簡単に緩ませた。
「僕と一緒にいても……っ、雪は幸せにはなれないんだ。なのに何で…っ」
言葉の途中で突然凄い勢いで胸元を捕まれた。
「私の幸せを勝手に決めるなっっっ!!!」
怒鳴られて雪が京に来た時のことを思い出した。
僕達が彼女の幸せを願って江戸に残したことが返って彼女を苦しめていたことを。
「私の幸せは総司といる事なんだよ!!私を幸せにしたいならずっと側にいて!!総司がいなきゃ私は幸せになれないんだよ馬鹿総司!!!」