誠の華−ユウガオ−
「坂本龍馬が暗殺された?」
勇さんと歳さんにお茶を渡しながら驚嘆の声をあげる。
昨夜未明、近江屋にて坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された。
京の町は専らその話で持ちきりだった。
「敵とは言え面識のあった者がいなくなるのは少し胸が痛むなあ」
少しだけ寂しそうに話す勇さんに歳さんは呆れたと言わんばかりに溜息を吐いた。
勇さんが京に来る前、江戸に来ていた坂本龍馬とはちょっとした顔見知りだったらしい。
私が知らないということは私が来る前の話なのだろう。
「まぁ良い。それより雪、巡察に行く前に新八と左之を呼んで来い」
「わっ、もう巡察の刻?!総司に怒られる!!!失礼します!!!」
スパンッッッッ
「廊下を走るな!襖は静かに閉めろ!それから新八達を呼ぶのを忘れるな!!」
「はーい、分かってまーーーーすっっっっ!!!」
返事は立派なものの結局永倉達を呼び忘れた雪の代わりに山崎が使われた。
「何でわいがいつも雪の尻拭いせなあかんねん」
関西弁が出ている事にも気付かずボヤく山崎だった。