誠の華−ユウガオ−



ー御陵衛士ー


「あ、伊藤さん。今日はお出掛けですか?」


「平助でしたか。ええ、今日は新撰組の近藤さんが資金を調達して下さるとの事でお招き頂いたのですよ」


新撰組…か。


いつもなら伊藤さんが出掛けるとなればどこにでも着いて行ったが今日はやめておこう。


近藤さんに会うのは正直辛い。


「今日は着いて来たいとおっしゃらないのですね」


俺の心を見透かしたように問う伊藤さん。


人が悪いな、なんて思いながら苦笑を浮かべる。


「俺にとっては近藤さんも伊藤さんも同じくらい尊敬していて大事な人なんです。御陵衛士に入った事が間違いだとは思いませんがやっぱり辛いんで」


「そうですか。余計なことを聞いてしまいましたね」


「いえ、道中お気をつけ下さい」



俺はこれが伊藤さんを目にする最期の姿だとも知らずに送り出した。



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