誠の華−ユウガオ−
二人が重なった食器を持って炊事場へ行くと、驚き目をひん剥いた雪がいた。
普段はこんなことをしないから驚くのも無理はない。
それを理解して二人は苦笑を浮かべる。
「あんまり無理すんな」
そう言った数馬に雪は更に目を大きく見開いたかと思えば今度は眉間に皺を寄せて二人を訝しむように見つめる。
「らしくないことして…お小遣いはあげないからね」
「らしくないのはお前だろ。いつもアホみたいに笑ってたってのにあの日から急に陰気臭くなって。お前が笑ってねえと裕次郎がうるせえんだよ」
「なっ!心配はしてましたけど数馬さんだってずっと雪さんを心配してたじゃないですか!!」
「してねえ!」
「してました!!」