誠の華−ユウガオ−
「それでも隊士に言うわけにはいかねえよ。法度の効力が落ちれば近藤さんと土方さんの信用も落ちるんだ」
近藤さん達に気に入られれば法度を守らなくても良い。
そんな認識が隊士達の間に広まっては絶対に駄目だ。
だからこれは俺と原田だけで内密に行うこと。
もう山南さんの時みたいに何もできねえのは絶対に嫌だ。
近藤さん達もきっと俺と同じ気持ちだ。
これ以上雪を苦しめるわけにもいかねえ。
絶対に失敗は許されない。
「来たぞ」
原田の声を合図に俺達は柄に手を添える。
原田と拳を突き合わせると二番、十番組は逆方向に走り出し御陵衛士を取り囲む。