誠の華−ユウガオ−




ガクッと平助の側に膝を着くと懐から手ぬぐいを出して顔にかかっていた僅かな血を拭う。


「駄目じゃん、平助。こんなところで寝てたら風邪引くよ。早く帰ろう、勇さんも歳さんも待ってるから。私また腕を上げたんだよ?だから手合わせしてもらわないと。………………ねぇ、何で…何も言わないの…っ……」



馬鹿っ、馬鹿平助っ……。


何で死んじゃったの…。


平助の傷口に触れても何も起こらない。


私の足がもっと速かったら、私がもっと早く油小路に来ていれば助けられたのに。



何でなの。


また失った。


私は何の役にも立たない。


大切な人達をいつも守れない。


どんなに力を付けてもどんなにたくさんの人を助けても、一番助けたい人を助けられない。


「ゔぅ…っ…平助、お願いだからっ…、目を開けてよ!!!」



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