サトラレル
実は私が地元に戻って来る直前に荷物を送りつけたのが、この鳴海家だった。

産まれた時から父はおらず、母にも捨てられた私は、頼る場所が鳴海家しかない。

だけど、三年程前から叔母さん(母の妹)は他県に単身赴任になった叔父さんについて行ってしまっているので、今鳴海家に暮らしているのは真ちゃん一人だけだ。

さっき看護師さんが『仕事を抜け出した』って怒ってたから、今日は真ちゃんは仕事で、私の荷物はたぶん、まだ受取人不在になっているはずだ。


……私、どれくらい入院する事になるんだろう。


跳ねられた時に打ったり擦りむいたりしたのだろう。病衣から覗く手足全てにぐるぐると包帯が巻かれている。


そろそろと手足を動かしてみる。


……うん、ちゃんと動く。


どうやら骨折などはしていないようだった。


ただ、気になるのは頭の痛み。

特に右側のこめかみの辺りがズキズキと疼くように痛む。たぶん、跳ね飛ばされて受け身も取れないまま頭を打ってしまったのだと思う。


頭に手をやると、厚いガーゼのような感触と、頭をぐるりと囲む網状の感触を感じた。


あー……あの果物ネットみたいなやつね……


自分の頭が桃かメロンのような状態になっているのを想像しただけで、ため息が溢れ落ちそうになった。

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