サトラレル
康人と、同じく営業の平井くん、永嶺くん。私と、大学からの同級生で課も一緒になった大畑と、営業のあずみん、こと安住。
意気投合した私達は、それから6人でミニ同期会を作って何かと理由を付けては集まるようになった。
まぁ、最初の同期会で平井くんが大畑に一目惚れしたって言うのが大きかったみたいだけど。
みんなで会ううちに私は康人に恋をして、入社から二年後に私から告白をして付き合うことになった。
ーーそれから、三年。
くだらない小さなケンカくらいはした事はあったけど、私達の関係は順調だったと思う。
去年、関連会社に出向した平井くんと遠距離恋愛をしていた大畑は、彼の側にいたいと会社を辞めて二人は結婚した。
営業は総合職だからどこに行かされるか分からない。突然海外事業部へ出向になるのだって、有り得ない訳じゃない。
平井くんと大畑の結婚をきっかけにして、私が康人との将来を夢見るようになったのだって、いたって普通の流れだったと思う。
***
ーー「別れて、野々花」
そんな信じられない言葉を康人の口から聞いたのは、四か月前の四月一日。
「……えっ?はぁ?……ちょっと、悪い冗談」
エイプリルフールにしたって、酷い冗談だと内心毒づきながらも『悪い冗談やめてよね!』と最後まで言えなかったのは、話を切り出した康人の顔が思っていたよりも真剣で、この言葉が嘘偽りなんかじゃ無いってはっきりと分かってしまったからだった。