サトラレル
ーーそれから四ヶ月。
別れて一ヶ月後に、突然あずみんから康人が関連会社の専務の娘と結婚すると聞かされた。
同情、憐れみ、蔑み。
康人に捨てられたその日から、営業部のホープと付き合っていて調子に乗ってあっさり捨てられたんだとか、時には私が浮気をしたから別れたんだなんて、まるで身に覚えの無い噂話まで聞かされ続けながら……
今、私はここに立っている。
***
康人の真剣に仕事に打ち込む姿が好きだった。
休日に出勤する事だって珍しく無かったから、普通に付き合ってきたカップルよりは一緒にいた時間は少なかったほうだと思う。
一緒にいる時間が欲しくて私から同棲を提案して、口約束だったけど結婚の話も出て、ファミリー向けのマンションへと移り住んで約一年。
お互いの両親に挨拶に行く予定なんかも話し合っていたけど、私の実家が遠いのと、康人の仕事が忙しいせいでなかなか話しが進まなかった。
それでも康人の側にいる事だけが私のしあわせだった。
そういう意味では、私は確かに調子に乗っていたのかもしれない。
休日も仕事中心の生活になるほど、のめり込むように仕事に打ち込むワーカホリックな康人は、野心も充分に持っていたって事だ。
どうして何も持っていない私が、ずっと康人の一番だって自信を持っていられたんだろう。