サトラレル

この一年、一緒に暮らしていた事だけに安心して、康人とはセックスどころか、キスも片手で数える程度にしかしていなかった事に気がついた時には、バカな自分に苦笑するしかなかった。



ーー新郎と新婦は、昨年の夏、お互いの友人を通して知り合い……


ーー家庭的で、優しい新婦に新郎は一目ぼれ……


ーー新郎の誠実な人柄に心を打たれて、交際が……


ーー半年間のお付き合いののちプロポーズ……



司会の女性が二人の馴れ初めを紹介していく。


まるでこれ以上聞きたくないと心がシャットアウトしたみたいに、私の耳には途切れ途切れにしか聞こえて来なかった。


だけどバラバラのパズルのピースみたいな言葉でも、一つ一つ繋ぎ会わせれば、嫌でも意味が分かってくる。



『康人は、私とは結婚をする気が全く無かった』



はい、できあがり。この世で一番笑えない、バカな勘違い女のパズルの完成だ。



今、自分はどんな顔をしているんだろう。



辛うじてうつ向く事を耐えていた私の目には、隣に座っているあずみんの顔がだんだんとひきつっていく様子だけが、はっきりと見えていた。
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