妻時々愛人

数ヶ月後―――――





「あなた、大丈夫?」



佳苗は、緊張気味の宮野を見て心配そうに声をかけた。



「右から・・右足から」



宮野は何やらブツブツと呟いている。



「あなた、落ち着いて」



佳苗は宮野の肩をポンポンと叩いた。






―――今日は陽子の結婚式。



「パパ、コケたりしないでよ?」



ウェディングドレスに身をつつんだ陽子は、そう言って楽しそうに笑った。



妊娠5ヶ月。



お腹は少しずつ目立ち始めていた。



「お前こそドレスの裾につまづくなよ」



「あたしはそんなに間抜けじゃないもん」



陽子はべーっと舌を出した。


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