妻時々愛人
両親が離婚したのは斗真が10歳の時。

斗真は父に、8つ年上の姉は母に付いて家を出た。

今でも思い出す。

――あの日はとてもいい天気だった。


「俺はみんなで一緒にいたいよ!」

斗真の言葉に、母はうつむいた。

「斗真・・ごめんね。もう、無理なの。一緒には過ごせないの」

「なんで?今まで一緒に暮らしてきたじゃん!」

「・・・母さんがいけないの。ごめんね」



あの日以来、母とは会っていない。


1年後、母は再婚した。


今だから分かる。

あの時、母は浮気していたのだ。

離婚を切り出したのは母。

浮気相手と一緒になりたかったのだろう。


姉は母が再婚したのと同時に、一人暮らしを始めた。

それからは、たまにこっちへ顔を出すようになった。
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