妻時々愛人
宮野と陽子を送り出すと、佳苗はソファーにグッタリと座り込んだ。

レジ打ちの仕事を始めて二週間。

慣れない仕事に疲れがたまっていた。


そして――夫のこと。


最近、夫の様子がおかしい。

毎日のように帰りが遅くなった。

今までにも残業で遅くなる事はあったが、こんなに続く事はなかったのに。


・・・浮気。


そう考えて、佳苗はふふっと笑った。

「あんなオヤジ、誰も相手にしないか」

言ってみたものの、不安は消えない。

――気のせいよ、気のせい。

佳苗は立ち上がって仕事に行く準備を始めた。
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